欧州債務問題で揺れるユーロ
欧州債務問題で揺れるイタリアでは、ベルルスコーニ首相が財政緊縮法案を来週可決すれば辞任する意向を表明しました。2010年会計報告の議会採決では賛成票が過半数に届かず、指導力の低下した首相の辞任は前進とも受け止められています。しかしながら、次期政権が安定して財政構造改革を進められるかどうかを見極める必要があります。
イタリアの財政収支の改善の見込みがなければ危機は終わりません。イタリアでは、マリオ・モンティ元欧州委員が次期首相となる公算が報道されています。ギリシャも同じく、ルーカス・パパデモス前欧州中央銀行(ECB)副総裁がギリシャ暫定連立内閣の首相に就任することが明らかとなっています。ギリシャやイタリアで政局の混乱が和らぎ、財政再建が進展するとの見方から欧米株式市場が上昇しています。
マーケットでは、首相の指導力低下やイタリアが緊縮財政策を実行できるだけの力強い新政権を樹立できるかという懸念から一日も早い首相交代を期待していますが、同国の政局混迷はイタリア国債利回りをユーロ導入以の最高水準まで更新させています。イタリアはユーロ圏で3番目に経済規模の大きい国ですが、債務も1兆9,000億ユーロと世界で4番目に大きいことも注目すべき点です。巨額の債務を抱える同国の政局混迷は、欧州債務問題がさらに悪化するとの懸念を高めています。
また、欧州最大の証券決済機関“LCHクリアネット”がイタリア国債の取引に必要な証拠金比率を引き上げたことをきっかけに、イタリアの10年国債利回りは一時ギリシャやアイルランド、ポルトガルが国際的な金融支援を要請した7%超の危険水準に追い込まれています。借り入れコスト上昇には歯止めがかかり難い状況の中、重い債務負担に耐えられなくなるという懸念は、世界的な株安・債券高・ユーロ安を招き投資家のリスク回避姿勢を強めることになります。
目先はイタリアの新政権組閣やイタリア議会での緊縮財政案の採決、欧州での欧州金融安定ファシリティー(EFSF)拡充に関する詳細決定に注目する必要がありますが、万が一、イタリアが金融支援の要請を行った場合には、現行のEFSF制度では賄いきれないことは留意しておく必要があると思われます。その他、欧州委員会によるユーロ圏経済見通しの大幅な下方修正やリセッション(景気後退)のリスクによるECBでの政策金利引き下げ幅拡大への思惑、そして欧州周辺国の格下げ懸念が中長期的なユーロ相場の見通しを低下させると考えています。
為替取引(FX)相場の動向では、他の材料よりもリスク資産である株式市場の影響を強く受ける傾向があります。欧州周辺国の対独スプレッドが拡大して株価が押し下げられていれば、ドルや円が買われ、クロス円が下落しますが、対独スプレッドが拡大しても株価が上昇していれば、ドルや円が売られ、クロス円が上昇する可能性があるため、状況判断には注意が必要です。
また、米国財務省のコリンズ次官補が「大幅な市場同様時以外は介入を避けるというG7合意に変わりはないし、現在は無秩序な為替の動きではない」と述べています。この発言は、政府・日銀の為替介入に対する牽制であり、もし今後も円売り介入を継続した場合は公然と日本批判を行いかねません。今回の発言をきっかけに、株価急落と同時に円売り介入は前回以上の円高水準(75円割れ以上)に陥らなければ介入しにくい状況に追い込まれているといえます。日米首脳会談でのオバマ大統領の介入に対する考え方(発言)が見どころです。
テクニカル分析データ
ドル円(やや売り優勢、下値は介入警戒)
ドル円を様々なテクニカル分析を駆使し、FX業者からの情報をもとに見ていきます。
| 為替レート | テクニカル分析 |
|---|---|
| 79.78円 | 200日移動平均線 |
| 78.35円 | ピボットR3(損切り転換点) |
| 78.27円 | ピボットR2 |
| 78.15円 | ピボットR1 |
| 78.13円 | 5日移動平均線 |
| 78.04円 | 現在値 |
| 77.95円 | ピボットS1 |
| 77.87円 | ピボットS2 |
| 77.75円 | ピボットS3 |
| 77.56円 | 一目均衡表(基準線・転換線) |
| 77.40円 | 90日移動平均線 |
| 76.99円 | 21日移動平均線 |
| 76.89円 | 50日移動平均線 |
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